先日、久し振りの患者さんから電話がありました。12月に結婚をすることになったが、歯並びがズレてきているのが気になるのでどうにかならないか、という内容でした。カルテを探してみると、当院での最終チェックは1998年7月になっていますから、15年ぶりです。どのようになっているのか電話ではわからないのでとにかく一度見せて欲しい、と話したのですが、、、、。
電話では、最近は「ブライダル矯正」というのがあるとのこと。結婚式を控えて歯並びが気になる人は、チョチョッと直してきれいな歯並びで結婚式を迎えましょう、ということらしいです。結婚式前に全身をリフレッシュしてきれいになりましょう、という「ブライダル・エステ」と同じ感覚なんでしょうか。
じゃ、それを歯科矯正治療にとりこんで、数ヶ月できれいな歯並びを獲得することができるかというと、それは難しいことです。症状、あるいは治療目標をどこに設定するかにもよりますが、ある程度改善(これもはっきりしない言葉で恐縮です)するには、半年以上の時間が欲しいところです。
しかし、最近の「審美歯科」なる分野(学術的には、そんな分野や言葉はありません)では、すこし歯を動かしては、あとは人工的な「差し歯」のようなことで外見を改善してしまおう、ということではないか、と推察いたします。
それでも患者さんが了解し満足するなら結構な治療法かもしれませんが(いや、そんなことはないですよ)、「矯正」と言う言葉は使ってほしくないですね。
わかりやすいキャッチ・フレーズは結構ですが、誤解を招くような言葉も、いかがかな、とも思います。
2012-09-07