昨日は、東京において「第40回日本臨床矯正歯科医会大会」が開催されました。今回は、我々、会員のアンケートを元にして、「矯正歯科治療における抜歯」についてのシンポジウムがありました。最近は、「抜かずになおす矯正治療」などというキャッチ・フレーズが広告やインターネットのホームページ上に掲載されているのを見かけますが、我々専門開業医では、そんな表現は患者さんに誤解を招くのでは、と危惧しています。矯正治療では、永久歯を抜かなくても歯並びをきれいに直せる場合もありますが、歯並びの状態によっては、大事な永久歯を抜いて治療をせざるを得ない場合がしばしばです。それにもかかわらず、すべての症状、全ての患者さんに対して、抜かなくても直せる、というような表現は如何なものか、と考えます。今回のアンケートでは、普段、矯正歯科専門に従事している我々会員でも、調和のとれた顔貌の獲得や、治療後の安定性なども考慮して、慎重な診断のもと、患者さんの約60%に対して抜歯による矯正治療を行なっているとの結果が出ました。ということは、我々、矯正歯科治療を専らに行なう医療機関側としては、「矯正治療に際しては、永久歯の抜去が必要な症例がある」ということは、共通認識であると考えます。
2013-02-08