前回は、「要注意乳歯」についての報告でしたが、その中の、永久歯が足らない場合「先天的欠如」の対応について考えてみましょう。
前歯が足らない場合は、見た目には目立たないようになってしまうことがあります。特に、下の前歯が足らない場合は、自然に生えそろってしまい、気付かない場合も多いようです(写真1)。最近は、永久歯の生えるすき間が不足して、下の前歯がガチャガチャなることが多いのですが、永久歯が足らないことにより、すき間不足が解消されてしまうわけです。この場合は、まったく歯科的な対応は不要と考えられます。少しすき間が余ってしまい、多少スキッ歯になるようなこともあるようですが、機能的にはまったく問題はありません。どうしても、それが気になるようであれば、相談されればと思います。
上の前歯が足らない場合も、整然とそろってしまう場合もありますが、残念ながら、程度の差こそあれ、スキッ歯になることが多いようです。その場合は、矯正治療で、改善することは可能です。
検診では、明らかに第二小臼歯が足らない場合も3~4人見られました。この場合は、乳臼歯がずっと残っている場合もありますが、結局は、グラグラしてきて抜けそうになってしまうことや、抜けてすき間が残ってしまうことが多いようです。その場合の対処としては、部分入れ歯やブリッジ、まだ完全にはおすすめではありませんが、インプラントによる方法などがあります。しかし、矯正歯科的な立場からは、残ったすき間に回りの歯を移動して埋めてしまう方法、奥歯を手前に引っ張ってきてすき間を閉じてしまう方法がすすめられます。これだと部分入れ歯のような煩わしさやブリッジのように両隣りの歯を削る必要もないし、インプラントのように骨の中にネジを埋め込むことによる偶発的な問題を避けることが出来ます。矯正治療において、すき間が不足している場合に行なわれる永久歯の抜歯と同じことになるわけです。確かに本数は足りませんが、外見的にも機能的にも、まったく問題なく改善されます(写真2)。
以上のように、歯の本数が足りない場合の対応として、いくつかの方法が考えられますが、中学生のような若い人の場合には、矯正治療がおすすめです。他の方法は、もっと大人になってからがいいのでは、と考えます。また、5~6本も欠如している場合もまれに見られますが、それについては、またの機会に。
2012-12-04