Rollei35は、二眼レフカメラ、ローライフレックスで有名な、ドイツのフランク&ハイデッケ社が1966年に発売した傑作コンパクト35mmカメラである。当時流行していたハーフサイズ・カメラより小さく、メカの固まりである。コンパクトが売りであったハーフサイズ・カメラは、その後、すたれて市場から姿を消した。ただ、そのコンパクトさゆえ、従来のカメラとは大分使い勝手が異なり、それなりの作法が必要である。マニアにとっては、それがまたたまらない魅力でもある。レンズはカール・ツァイスのテッサー40mmF3.5、そしてシャッターはデッケル1/2~1/500のコンパー・シャッター、内臓露出計はゴッセンと申し分ない。特徴としては、沈胴式レンズの採用、左手側にある巻き上げレバー、ボディ下部におかれたシンクロ接点など。撮影のためにはまず沈胴式のレンズを引き出す。そして右に回してカチッと固定する。ボディ前面に対称的に配置された絞り、シャッタースピードリングを回しながら、ボディ上面の追針式の露出計で露出を決める。被写体との距離を目測し、レンズ外周の距離目盛りに合わせる。あとは、大きめのファインダーを覗きシャッター・ボタンを押す。撮影が終わったら左手で巻き上げレバーを巻き上げてから、シャッター・ボタン隣のボタンを押しながらレンズを左側に回し、ボディに押し込み沈胴させる。これで、一連の動作は終わりである。フィルムを巻き上げてからでないとレンズは沈胴できない。ピントは目測のため慣れが必要であるが、ぴたっと決まったときのテッサーの写りはさすがにすばらしい。「鷹の目」といわれるのがうなずけるくらいカチッと鮮鋭である。しかし、目測ゆえ近距離での撮影は少々辛く、ピントをはずしやすい。ボディは、クロームとブラック、そして、後に組み立て工場をシンガポールに移したため、made in Germanyとmade in Singaporeとある。どちらも写りには差がないと言われるが、マニアの間ではやはりmade in Germany が人気であり、少々高価である。私が所持しているのは、クロームがドイツ製、ブラックがシンガポール製であり、どちらも当然中古で手に入れた。あまりにコンパクトにしたためか、店頭にあるボディにはぶつけて角に凹みがあるのが多い。また、露出計に故障が多いようである。私も2度ほど修理に出したが、その費用も決して安くはない。
幕張メッセの一角にそそり立つ「バベルの塔」ならぬバブルのホテルも、神の怒りに触れたのか、日本経済界のカリスマ的経営者から人手に渡ってしまった。おごれるものは久しからず、である